読者コメント

1人目

なるほどぉ~!そっか、そういうことなんだぁー!と気づきが多いのが佐伯さんのブログの魅力。
分析・分類に加えておすすめの対処法や言葉がけが添えられているのも非常にありがたい。
このブログも代表的なひとつ。
今日も小5の息子と一緒に再読。お互いの理解構築の一助になっています。
 
ありがとう!

本文

連日、思春期ネタを投下していますが、思春期の話は、特に思春期男子の話で知っておいた方がいい話は、もう少しあります。
 
 今日は『中ニ病』について。
 
 
 
 思春期男子の間では有名な話なのですが、この話を出すと、親の方は
 
 「え、そんなのあるんですか!?」
 
 「聞いたことはありますが、具体的にはちょっと・・・」
 
 って言われることがあるので、書いておきます。
 
 
 
 中ニ病の話を聞くと、思春期男子はそっとしておいてあげた方がいい、って思えるかと思います。
 
 
 
 『中ニ病』って、お医者さんが下す診断名ではありません。
 
 思春期男子の特性をおもしろおかしく言い表した造語です。
 
 最初に言い始めたのは、伊集院光さんで、そこから「そうそう!」って共感を呼び、今でも男子ならほぼ間違いなく聞いたことある言葉じゃないかな、って思います。
 
 聞いたことがあるかどうかは、たぶんね(笑)
 
 
 
 中ニ病っていうのは、一言で言えば、
 
 「小学校くらいまでに妄想していたり、楽しんでいたファンタジーな世界を現実世界に持ち込み始める」
 
 っていうもの。
 
 
 
 
 
 さらにザックリと系統で分ければ、5つくらいに分かれるのかな。
 
 
 
 ◆ファンタジー系
 ゲームや漫画の中に出てくる言葉や現象が本当にあるんだと信じて、
 
 「今は力が封印されているから、上手くできない」
 
 「見える人にしか見えないから、親には見えない」
 
 っていう設定を作る。
 
 もしかしたら、ゲームや漫画の中で出てくるような出来事が、現実の世界にも起こるんじゃないかと割と本気で信じているタイプですね。
 
 
 
 ◆大人ぶりたい年頃
 「俺だけは、分かってる」
 
 「俺だけは、この事態を正確に把握している」
 
 「俺だけが、これを上手く対処できる」
 
 って思いたいお年頃。
 
 「あいつって、空気読めてないよな〜(俺は読めてるけど)」
 
 みたいな感じ(笑)
 
 
 
 ◆人生に絶望してる系
 「死にたい」
 
 「何のために生きてるのか」
 
 「俺なんていなくてもいいんじゃないか」
 
 って思いたくなるお年頃。
 
 これ、実際に子どもが言い始めると、心配になるんですが、特にそう思えるような出来事が無い場合、ただの中ニ病だったりします。
 
 本当に死にたいんなら、さっさと死んでるよね、って話で、死にたい死にたいって言う割に、元気で生きてるなら、そう思い込みたい、ネガティブな自分でいたい、っていう中ニ病です(笑)
 
 
 
 ◆サブカルに詳しい系
 歌とか、漫画とか、映画とか、ゲームとか、そういうのに対して、
 
 「そんなことも知らないの?」
 
 「そんなの当たり前じゃん」
 
 「俺はこの作品について最も詳しいし、最も愛してる」
 
 みたいな感じ。
 
 知ってて当たり前感を出してくる系です。
 
 
 
 本当は知らないのに、
 
 「知らない」
 
 って言えない(笑)
 
 知らないって言う時は、
 
 「へぇ、そういうこともあるんだね(でもそれは、僕が知ってる王道ではなく、ごく稀な例外に過ぎないけどね)」
 
 ってめんどくさい感じになったり(笑)
 
 
 
 ◆悪ぶりたい系
 嫌がらせしてみたり、たばこ吸ってみたり、お酒を飲んでみたり、規則を色々と破ってみたり。
 
 自分のことを見てほしかったり、今まで自分に辛く接してきた親や先生への復讐をする場合、このタイプになることがあります。
 
 子どもが何か問題を起こせば、親が困ることを知っているんでしょうね。
 
 そんなに深刻なものもあれば、もっと軽い、いじわるをしてやろう、っていう感じのこともあります。
 
 
 
 
 
 
 中二病に陥った男子は、親から、特に母親から見たら、
 
 「子どもだなぁ」
 
 「アホだなぁ」
 
 「意味不明だなぁ」
 
 って思いやすいと思います。
 
 
 
 中二病になるのは何か問題があるのか、っていうとそんなこともありません。
 
 男子なら、その多くが一度は通過する儀礼みたいもんです。
 
 
 
 高校生になったか、高校を卒業するくらいには、収まります。
 
 「あの時の自分は何をしていたんだ・・・」
 
 ってちょっとした恥ずかしさと共に目が覚めます。
 
 
 
 だから、基本的な関わり方は、
 
 「そっとしておく」
 
 「あたたかく見守る」
 
 です。
 
 
 
 パッと見、アホなことしているから、「アホやなぁ」とは思わないようにしたい。
 
 その子にとって必要なことだから、中二病を発症しているので、「可愛いなぁ」とか、「今は、そう思いたい時期なんだな」って思いながら、接してあげるといいと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 じゃあ、なんで中二病なんてなるのかと言えば、幼少期や、小学生くらいの時に、親にチヤホヤされたり、甘えてきたりしているのと、色んな遊びを経験してきたんですね。
 
 そこを通過すると、心のどこかで「大人になりたい」「自分の力で立ち上がりたい」「自分の中に特別感を発揮したい」って思うようになります。
 
 それが何かに詳しくありたい、大人ぶりたい、悪ぶりたい、何か特別なことができる自分でいたい、っていう発想に繋がります。
 
 
 
 もうこれからは、自分で自分の価値を発揮できる、特別な存在なんだぞ、って思いたい。
 
 周りにそう思ってほしいから、中二病を周りに表現するんですが、その時期を乗り越えるのは、
 
 「自分で、『自分は特別な存在なんだ』って思えたら」
 
 です。
 
 
 
 今までは、親が「あなたは特別だ」と言ってくれてきた。
 
 知識や経験がついてきたことで、「社会的には、どうなのか?」って思ってくるようになる。
 
 でも、どうしたらいいのか分からない。
 
 
 
 その葛藤や悩みが『中二病』として、強がった形で発揮されてくるんですね。
 
 
 
 
 
 
 
 でね、ここで、親だったら、こんなことを思ったり、声をかけちゃうかもしれません。
 
 「そんなにがんばらなくてもいいよ」
 
 「そんなに強がらなくてもいいよ」
 
 「嘘をつかなくてもいいんだよ」
 
 「そのままの自分でいいんだよ」
 
 って。
 
 
 
 こういう想いは、実は中二病の子にとっては逆効果なんです。
 
 だって、
 
 ・強がりたい
 
 ・がんばりたい
 
 ・今までと違う自分でいたい
 
 っていうのが中二病の子が求めていることだから。
 
 
 
 とはいえ、
 
 「もっとがんばりなさい」
 
 「そんなんでいいと思っているのか」
 
 「何を嘘ついているんだ」
 
 みたいにやると、それはそれで求めていることとは異なります。
 
 
 
 子どもらしい甘い感じを求めつつ、大人らしい自立した感じもほしい。
 
 そんな境目で揺れ動いているのが中二病の時期の子の特徴です。
 
 
 
 だから、オススメは、「そっとしておいて、いつも通りに接する」っていうことです。
 
 自分で迷って、自分でもがいているので、自分で乗り越えてくれるのを見守りながら、待っていればOKです。
 
 
 
 
 
 
 
 ただし、一つだけ注意点があって、リストカットなどの自分を傷つけることに手を出すこともあります。
 
 この時は、少し慎重になった方がいいです。
 
 
 
 ・人生に絶望したい系の中二病なのか
 
 ・本気で死にたいと思っているのか
 
 ・親への復讐でやっているのか
 
 
 
 っていうのが考えられます。
 
 細かく分ければ、他にもあるとは思いますが、ざっくり分ければこんな感じ。
 
 
 
 そのどれかによって、対応の仕方が真反対に近いほど変わります。
 
 中二病で人生に絶望したいだけなら、親の悲しみを伝えたい。
 
 「それはすごく心配しちゃって、すごく悲しい」
 
 ってな感じで。
 
 
 
 
 
 本気で死にたくて、自殺するつもりでリストカットをしているなら、親だけで何とかするのはかなりしんどいです。
 
 子どもの心のケアの専門家の力を借りましょう。
 
 
 
 
 
 親への復讐でやることもあります。
 
 『親への復讐』というのは、今まで親に自分のことを認めてもらってこなかったから、それどころか、けなされ、さげすまれ、自尊心を大きく傷つけられ、親を困らせてやりたい、って思っている状況ですね。
 
 ここまで来ているのも、かなり深刻な親子関係になっています。
 
 
 
 だから、親子関係や、家族心理などの専門家の力を借りて、『親の方の変化』が必要です。
 
 親に認めてほしいから、やっているわけですから、親が変わらないと、一時的に行動が収まっても、再発は必至です。
 
 
 
 
 命に係わることや、法に触れることさえしていなければ、中二病は、
 
 「そう思いたいだけ」
 
 「そう言いたいだけ」
 
 「そうしたいだけ」
 
 なので、そっとしておいてあげて、温かく見守っててあげるので十分です。
 
 
 
 そしたら、しばらくしたら自分の中で答えが出て、収まります。
 
 子どもに手を貸すのは、子どもが求めてきた時、子どもが求めている時だけです。
 
 「自分のことは自分でやりなさい」
 
 的な感じで、冷たく突き放しちゃうのも避けるのがオススメ。
 
 
 
 今まで、親にはある程度認めてもらえているから、中二病のフェーズにこれているので、ここで突き放してしまうと、子どもの心の発達が退行する可能性もあります。
 
 心が揺れ動いているからこそ、突き放しちゃうと、
 
 「あれ、そもそも、自分は親から認められていなかった・・・?」
 
 みたいな気持ちも出てくることがあります。
 
 
 
 「そっか、今は中二病を楽しみたい時期なんだな」
 
 って思いながら、今まで通り、接してあげれば、そのうち収まります。
 
 
 
 そして、中二病を抜けたら、中二病は本人にとって恥ずかしい黒歴史になることが多いので、
 
 「あの時、あんな変な態度取ってたよね、ぷぷぷ」
 
 っていじってあげてください(笑)

佐伯コメント

中二病の話ですね。

思春期男子は、さらによく分からない行動や、発言が増えるのですが、この中二病的なファンタジーな振る舞いを知らないと、余計な心配をしたり、子どもを抑制しちゃう。

見方を変えれば、「男の子」から、「男性」への過渡期とも言えるのが『中二病』ね。

この時期の男子は、変に思えるから、笑って生温かく見守っててあげるといいです(笑)