読者コメント
1人目
このメルマガを読む前から、自分が娘にどうしようもなくイライラしてるとき、優しい言葉を誰かにかけてほしいと思っていました。
分かってるけど、どうしようもなく腹が立つとき、正論を言われたり、責められたりはするけど、そういうこともあるけど、がんばってると思う。
大丈夫だよってうそでもいいから言ってほしい。
この気持ちは間違ってなかったんだと思えました。
本文
子育ての主役は、子どもではなく、親であろう、って考えています。
子どもは、子どもの人生の主役であって、子どもを自身を育てているわけではありません。
どちらかと言うと、自力で育っていっている、って感じでしょうか。
そういう意味で、子どもを育てている主体は親だ、って言えます。
子育ての主役が親であるならば、子育てで最も大切にされるべきも親である、って考えられます。
親が元気なうちは、子育ては上手くいく。
子どもへの関わりが子どもにとっての勇気付けになるものだったり、愛情を感じられるものだったりする。
一方で、親が元気じゃない時は、子育てが上手くいきづらい。
子どもへの関わりに子どもへの勇気くじきが多くなり、愛情よりも、怒りや、失望感を感じがちになったりする。
そのどちらの場合においても、子ども自身は好きなことをやり、より自分にとって必要な選択をし、人生を楽しもうとしているでしょう。
現代の子育ては、どうしても「子ども」が主体になりがち。
でも、子どもを育てるのは親であり、子どもにとって、親はとても重要な存在です。
だから、子どもは大切にして、子どもは素晴らしい存在だとしながら、親はその犠牲になってもいいとか、親は子どものために尽くさなければならない、っていう発想は、子育てを一層困難なものにするんじゃないか、って思います。
親を大切にする。
このことには、主に2つの要素に分けられます。
1.親が、自分自身を大切にする
2.親の周りの人が、親である人を大切にする
っていう2つです。
この2つに分けたということは、逆に言えば、親が自分で自分をぞんざいに扱っている時もあるし、親の周りの人が、親である人にプレッシャーをかけている場合がある、っていうことです。
ここでは子どもが親に与える負担については考えていません。
なんでかっていうと、子どもが親に与える負担は、親の心理状態によって、大きく増減するだろうから、です。
別個に見ていきましょう。
◆1.親が自分自身を大切にする
これは、親自身が育ってきた過程で、自分を苦しめるような学習をたくさんしてきた結果とも言えます。
例えば、
・自分の親から、なるべく苦労して、努力するように教えられた
・自分の親から、遊んでばかりではダメで、勉強こそが全てだと教えられた
・学校で、失敗してはダメで、成功しなければならない、と教えられた
・交友関係から、自慢をするのはダメで、常に自分を卑下しなければならない、と学んだ
とかとか。
様々な体験を通じて、自分を大切にしてはいけない、自分の好きなことをしてはいけない、っていう学習をすることがあります。
そしたら、「良い親でいなければならない」みたいな意識が働き、自分で自分を縛り始めます。
自分の心にエネルギーが足りていないから、すぐ怒るようになるし、子どもの小さな失敗ですら許せなくなり、親子の関係が悪くなります。
これは、自分を幸せにすることよりも、他人に迎合することを良しということを学んできたから。
その学びを自分の子どもにも教えようとしているから、親子の関係を、本来、自分が最も大切にしたいはずの親子の関係を崩そうとしているわけですね。
「自分は幸せになってはいけない。」
自分が幸せになることを、なぜか自分で許しておらず、子どもにもそれを押し付けようとしてる。
こういう時、親は、子どもに対して
「~するべき」
っていう『べき論』でコミュニケーションを取ろうとする傾向にあり、基本的に上から目線になります。
「~しなさい!」
とか、
「~しちゃダメって言ったでしょ!」
みたいな。
これは、子どもがどうのこうのじゃなくて、まずは親が自分を大切にするところから始める必要があるんですね。
「自分を大切にする」
っていうのは、簡単に言えば、
・やりたいことをやる
・やりたくないことはやらない
っていうことです。
◆ 2.親の周りの人が、親である人を大切にする
これは、どちらかと言えば、社会問題です。
親自身が何とかするのは難しい問題です。
国や市町村などの行政が、親や、家庭における子育てを支援したり、保育園の整備などに始まり、親同士のコミュニケーションや、学校の先生と親の関係などまで幅広く含みます。
行政の話は、あんまり詳しくないから、他の専門家たちに譲ります。
僕の関心は、親同士の交流や、学校の先生との関係、親のそのまた親との関係です。
「親が自分自身を大切にする」っていうことでは、親自身が世間体を気にして、自分を大切にできない場合があります。
一方で、「親の周りの人が、親である人を大切にする」っていうのは、親自身の気持ちに関心を向けたり、共感的に接することができる人を増やすことが重要になってきます。
例えば、子どもが学校に行かない選択をしたとします。
それを学校の先生に話せば、こちらの気持ちや考えを聞く前に、
・どんな支援が必要か、一方的に提案してくる
・安否確認のため、登校促進のために頻繁に電話をかけてくる
などなど、子どもが学校に来ないと知るや否や、すぐに具体的な解決策を打ち出してくるケースがあるようです。
これは、親にとって、子どもが学校に行かない選択をしただけでもびっくりなのに、その事実を理解して、受け止める前に、先生からあれこれと提案があるから、親の気持ちが追いついていかない。
そして、学校の先生に対して恐怖や嫌悪感、不信感を覚え、親が先生に対して心を閉ざしてしまう。
「もう、連絡をしてこないでください」
みたいな。
先生の体裁からなのか、先生の善意からなのかは分かりませんが、先生の行動が裏目に出てしまうことは多いようです。
他にも、例えば、親が自分を大切にしようと、子どもを施設や、信頼できる人に預けて、自分が一人になれる時間や、夫婦の時間を確保したとします。
親が積極的に自分の時間や、夫婦だけの時間を作ることは、非常に大切です。
親自身が不安定な精神状態なままでは、子どもに関わる時にも、その不安定感が影響しますし、親にとっても、それはしんどい。
でも、その光景を見ていた親の親、子どもから見た祖父母たちや、ママ友たちが、
「子どもがかわいそう」
とか言い始める。
その言葉を聞いた親は、自分の時間を持ったり、夫婦だけの時間を作ったりすることに罪悪感を覚え始める。
そして、少しずつ、自分との時間や、夫婦だけの時間を作りづらくなり、
「ずっと子どもと一緒にいなくてはならないのかしら・・・」
と落胆する気持ちを感じるようになる。
その結果、親にとって、子どもとの時間が苦痛になり始める。
そんなことも、ちょくちょく起こっているようです。
この時、
「世間体なんて気にしなければいい」
「そんな人と交流しなければいい」
って言うのは確かにその通り。
ただ、言われた言葉をスルーしたり、
「自分たちのことを気にかけてくれているんだな」
ってリフレーミングするのにも、ある一定のエネルギーを使うから、毎度毎度、言われ続けると、少しずつしんどくなってくる。
だから、
・親自身の自分軸の確立(=自分を大切にする)
っていうことに加えて、
・親の周りの人が、親の気持ちを理解する
っていうこともあった方が、より親にとっては子育てしやすい環境が整うんじゃないかな、って思う。
親にとって子育てしやすい環境ができるということは、それはすなわち、より精神的にも、肉体的にも、知力的にも、元気な子どもが育ちやすいということに繋がるんじゃないか、って思うんです。
親が子どもに対して、子ども目線で物ごとを考えられるようになるのと同様に、親の周りの人も親に対して、相手目線で物ごとを考えられるようになると、もっと優しい世界、優しい社会ができるんじゃないかなぁ、って思っています。
そのためには、心理や、コミュニケーションについて、ある程度のレベルの理解と、技能を持ち合わせている必要があります。
若者たちの間では『コミュ障(=コミュニケーション障害)』と呼ばれ、コミュニケーション能力の低さが先天的なものや、幼少期の環境により決まるように言われていますが、そんなことはありません。
大人になってからでも、学んで、練習すれば、ものの数か月で格段に上手くなります。
で、そのコミュニケーション能力は、親自身にも身に付けてほしい、って思っています。
それは、子どもとの関係を良くすることにも使えるし、自分もよその子の親にとっては、『親以外の人』になり得るはずで。
親がコミュニケーションを学ぶことで、また別の親の心の支えや、理解者になれたりする。
それだけで、心の支えができた親がどれだけ救われるか。
自分は子育てに何も問題がないように振る舞っていて、何か問題を抱えた親子を見つけると、アドバイスを連発してくるような人もいるんです。
「あなたが遊びほうけてて、ちゃんと子育てしていないからではないか」
とダメ出しをしてくる人もいます。
同じ、子を持つ親なのに。
そうじゃなくって、
「大変だったね」
「がんばってきたね」
なんて心から言える人が一人いるだけで、元気を取り戻せる親がいるはず。
親が元気になれば、また子どもと楽しく関われる。
親が元気になること、親が大変なことに理解を示せる人が一人でも増えていくことが、現代の子育てにとっては大切なんじゃないか、って思います。
学校の先生が、そういうコミュニケーションを取れるようになることも、できるといいなぁ。
そんなわけで、子育ての主役は、親自身である、って考えていて、
1.親が、自分自身を大切にすること
2.親の周りの人が、親の理解者となること
が親にとっても、子どもにとっても、重要なことかな、って考えています。
今やってる『親のコミュニケーション講座 BASE』は、この2つのことを一挙に解決するためにやっています。
親自身が楽しめて、なおかつ、自分のことを理解し、自分もまた相手のことを理解する仲間が増える。
まだ第一期の途中ですが、遠方からの参加であっても、現代ではオンラインで簡単に交流が図れるので、お互いに支え合い、元気づけ合うことができます。
まずは、親にとっての安心安全な関係や、環境作りが最優先で大切なんじゃないか、って考えています。
佐伯コメント
なんか、親に厳しく責任を追及したくなる人が多くて。
『親=保護者』
っていう認識があって、子どもがやったことは親の責任だ、って認識があるんだろうけれど、みんな忘れてるのかな、って思う。
親も、人間であることを。
責めれば凹むし、落ち込むんだ。
親に必要なのは、子どものやったことへの責任を取らせることじゃなくて、味方。
命がけで子どもを守っているヒーロー・ヒロインにも、味方が必要なんだ。